ミームボルグの魔女

エドモンド・オーヴァの生涯

エドモンド・オーヴァは、かつてこの町を震撼させた猟奇殺人者である。

彼の異常性は成長期の性への目覚めと共に膨張していった。

我々取材班は当時のエドモンドの友人(匿名希望)に話を聞く事に成功した。

 

 

第一の犯行

初めて彼が異常性を発揮したのは13歳の頃、

彼は担任の女教師に恋愛感情を抱いた事を友人に相談した。

 

 

「先生と性行為がしたい」

それ自体は思春期の少年のありふれた感情である。

 

友人が「応援する」と言うと、エドモンドは

「先生と性行為がしたい…でもその為には先生を殺さなきゃいけない」と言ったという。

 

彼はその後、深夜にキッチンの包丁を持ち出し、

担任の教師を襲う。

 

教師は護身術の心得があり、軽傷こそ負ったものの何とか難を逃れ、

エドモンドは更正施設に送られる事となる。

その後10年余り施設で過ごす。

 

才能

エドモンドは実に多彩であった。

絵を描けば並みの画家よりも高く評価され、

ピアノを弾けばたちまち聴くものを虜にした。

 

彼の異常性は誰もが知っていたし、

そこに存在する狂気と芸術性を混濁してしまったのかもしれない。

 

また頭も良く、チェスが得意であったため、

この町の有名な棋士たちは、度々施設を訪れて彼と対局した。

 

銀行強盗

彼は警察に銃で撃たれ生涯を終える。

生活に困窮していた彼は銀行を襲い、受付の女性を殺害。

逃亡するも逃げ切れず射殺される。

 

当時の銀行は今ほど警備が厳重では無かったとは言え、

頭の良かった彼の行動とは考えにくいのだが…

 

受付の女性は殺害後に犯されていた事もあり、

異常性癖(ネクロフィリア)による衝動的な犯行であり、

銀行の金を持ち去ったのは、ついでだったのではないかと言う見方もある。

 

当時、話題になっていた女性の連続強姦殺人の犯人である可能性が極めて高く、

彼を射殺した警察官の娘も被害者の一人であった。

 

後にエドモンドの自宅より、

被害者の女性たちの身体の一部が発見された為、

犯人死亡という事で解決となった事件もいくつかある。

 

彼は殺害した女性の「最も美しいと感じたパーツ」を切断し、持ち帰っていたのである。

 

未解決事件

この町には未解決の殺人事件がいくつもある。

警察の捜査能力がさほど高くないし、そもそも彼らの志が低い事も原因の一つだろう。

 

エドモンドが射殺された事により、

彼の口から余罪を聞き出すことは出来なくなった為、

その中に彼の犯行があるのかは分からない。

 

強姦されたのちに殺害されたのか

殺害されたのちに犯されたのか…

 

そのような資料も残っていない為、真偽の程を確かめるのは容易ではないだろう。

 

あとがき

この事件を調査する事で、先々月号の発行部数はうなぎのぼりだ。

エドモンド・オーヴァというかつての猟奇殺人者は、

この町の一部の人間たちには人気があるのだ、それは信仰と言っても良いだろう。

 

この手の事件を毛嫌いするあの先輩も、

エドモンドの調査だけはとても乗り気だった…

 

犯罪者というものは人を魅了するのだ。


管理人 K


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