これは、愚かで不運な、しかして希望と幸運をひとかけら与えられたものの備忘録である。
ここに書き記すことを誰かに信じてもらおうなどと思ってはいない。
信じてもらえるとも思わないし、信じて欲しいと願うこともない。
まず断らなくてはならないのは、ここに記す事柄はすべてわたしが観測し、推測したものにすぎないということだ。
妄執と呼ばれるかもしれない。あるいは妄想とも違わない。
だが、わたしは異常な精神状態に陥っているわけではない。
むしろ異常なのは異常なものを正常と受け入れているこの町ではないか。
街頭に魔が跳梁し、目抜き通りに影が跋扈する。
町の隅から隅まで余すことなく死が闊歩しているのだ。
それなのになぜ。
なぜこの町は生きていられるのか?
そう、どうかしている。
なにもかもが。
どこからか。
この町はとうに異常だった。
管理人 H