わたしは長くのあいだ追い求めていた。
もうどれだけの時間を経てきたのか、その感覚さえも痺れ壊疽を起こしていた。
いやもちろん、いかばかりの時間を費やしたのか、振り返ることができれば解することはできるだろう。
だが -できないのだ。
追い求めていたものに、いつのまにかわたしは追われていた。
絡め取られていた、それが近いのかもしれない。
神が人間を創造されたのか、人間が神を想像したのか。
ものごとの主体など、いとも易々と位相を反転させる。
もはや振り返ることさえ容受の外側に存在していた。
恋人の愛玩している仔犬が、自身の尾を追いかける様を漫然と眺めながら、わたしは思うのだ。
追っているのはどちらなのか、わたしはいつから追われていたのだ、と。
管理人 H