開かずの間

町はずれの廃洋館を調査して3日、さほど大きくは無い屋敷である。

しかしながら、階段下の小さな扉には鍵がかかっており、そこだけは調査が出来なかった。

おそらくは只の悪戯だと推測は出来るが、扉には文字が刻まれている。

子供部屋は秘密の言葉を入れると開きます。
正しい言葉を入れて鍵を開けてください。

X月22日追記

開かずの間の扉に文字が増えていた。

1.私の名前はミータム・ミームボルグ。

ミームボルグの魔女の噂を面白がった子供の悪戯である可能性が高いが、ミータムという名前は一部の古いニュースペーパーに載っているのみである。

Y月5日追記

噂されるような地下室への入口はやはり見当たらない。

開かずの間の扉にさらに文字が増えていた。

2. 秘密の言葉は招待状に書いてあります。

いったい誰に向けてのメッセージなのだろうか?

Y月7日追記

開かずの間の扉にさらに文字が増えていた。

3. 招待状は私の気まぐれで送ることがあります。

招待状は気まぐれで送られる物らしい。

つまりこの文字は不特定多数の人間に向けて発せられていると考えられる。

我々以外にもこの廃洋館を調査している人間がいるのであろうか?

Y月12日追記

前回の調査より五日後、また例の開かずの間の扉に文字が増えているのを発見した。

4. 招待状はインターネット上のどこかに存在します。

インターネット上のどこかに招待状が存在するらしい…

この文字の主は我々をからかっているのであろうか?

Y月17日追記

特に変わりなし

Y月28日追記

特に変わりなし

Z月2日追記

今回も特に変化はなく、そろそろ調査を終えようとしていた所、

大きな振り子時計の鐘の音が鳴った。

時計の針は9時26分を指していた、さすがにこれだけ古い時計だと鐘が鳴る時間も狂ってしまうのだろうかと思ったが、そもそも時計は動いていないようであった。

その時、ふと例の開かずの間の扉に目を向けると…

5. 招待状を手に入れても開封できなければ秘密の言葉は分かりません。

文字が増えていた…

おかしい、先ほどまでこんな文字は無かったし、私の他に誰か人の気配は無かった。

そして私は背後にただならぬ寒気を感じ、振り返った…

 

 

 

ウスボンヤリ…元いオンブラがそこに迫ってきていた…

私の記憶はそこで途切れる。

 

今ではあの文字が只の悪戯では無かったと確信している。

あれからずいぶんと経つが、今しばらくあの廃洋館には近づいていない。

或いは「招待状」を手に入れる事が出来れば真相に近づく事ができるのであろうが…


管理人 K